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第225回 北軽井沢句会  (2023/11/8)

  
第二百二十五回銀漢北軽井沢句会会報


    令和五年十一月八日(水)管理事務所







photo by  Udai








  
 早朝の音なく舞ふる紅葉かな
         
 神留守の恵比寿神ある頼もしき

 鈴ひとつおまけ賜はる神の留守

 神留守の洗ひ地蔵やすがもかな







柴山つぐ子

  初霜やまだ日の差さぬ木のベンチ
 
 人影のふつくらとして小春かな

 切干しを煮つけ静かな夕餉かな

 立冬の静かなる日の浅間山



山﨑ちづ子
 つかの間の冬夕焼や円覚寺
          
 恵比寿講富士に横たふ船あまた

 船頭の板前料理恵比寿講



   
小林 好子
 
 切干の日の香ほんのり上がり

 忙しなく跳ねる小犬や今朝の霜
                     
 冬の雲衣に見立て寝観音

     


 
佐藤 栄子


 木守柿の話などして収穫祭
                     
 新蕎麦とだけの筆文字古のれん

 海遠き浅間に立てり鰯雲




 

岡田 久男
 水牢の悲しき跡や帰り花

 菊人形子供とにらみ合つてをり

 みそつ歯ののぞく笑顔や七五三

 切干や太さの違ふ祖母と母



 
北川 京子
 
 
 熊除けの空砲ひびくりんご園

 車窓より仕事帰りの二十日月







黒岩伊知朗
 水牢や弔ふ地蔵冬帽子

 初霜の葉に滑りをる子猿かな

 指三本立てし幼子小春風





黒岩 清子
 
 追伸のごとく一枝かえり花

 冬に入る身を任せたる観覧車






佐々木終吉 
 

 初霜や甘味増す菜に崩れる菜
                      
 水源地冬眠するや爬虫類






白石 欽二
 風呂吹に菜箸差して割りにけり

 夷講近づく提灯威勢良く

 




武井 康弘 
 山寺の鐘の消えゆく秋の空

 待ちわびし今宵は雨の十三夜
 





中島みつる
 福引の鐘賑やかに恵比寿講

 初霜や交わす挨拶声白し  





山﨑 伸次
 
 
 風に揺れ菊人形の笑みやさし

 粒揃い枡いつぱいの今年米






横沢 宇内
    




★今月の句会はちょうど立冬の日なので席題は立冬と落ち葉でした。出句の中に季重なりが多々ありました。もう一度歳時記をよく見て作句しましょう。(山﨑ちづ子)          
★十二月の句会   十二月十三日(水)管理事務所 午後一時
          兼題 十二月 粕汁 湯たんぽ   当季雑詠二句  席題二句



第1句集『つまこひ』柴山つぐ子 2022/9/1発行

△ 句集「つまこひ」を拝読して          中島みつる
晩鐘のけふより冬の音色かな

 この句を初めて見たとき、私の頭に浮かんだのはミレーの晩鐘でした。夕べに祈る農夫の姿。そして次につながる、けふより冬の音色の流れのよさ。このような佳句を作れるように、努力そして勉強したいと思っております。


△ 句集「つまこひ」出版おめでとうございます   佐々木終吉
2003年嬬恋村北軽井沢句会が11名でスタート。2006年9月第1回目の記念的バーベキュー句会のスタートでした。私がペンション経営時、つぐ子さんがよく来られてこの記念的句会にお誘い下さり、参加したのが俳句との出会いでした。スタート時つぐ子さんは鎌倉の「春耕」にも参加され、二足のわらじで句会を盛り上げて来られました。クラスメートの英明さんと結婚され、ご主人の英人さん(俳名)も句会に参加されました。英明さんが68才で亡くなられて13年、感慨深い句が多くあります。句会ではよくご一緒させて頂きました。優しいお元気な姿が目に浮かびます。句会スタートからすでに20年の歳月が流れました。

秋風のまん中にゐて夫恋し
花衣装ふ夫の手を借りて
種袋蒔かずに逝けり夫の文字


これまでは夫の日課の落葉掃く
夫の畑引き継ぐ妻に花梅が
住み古りて夫亡きあとの冬構


この20年間句会も紆余曲折あり、つぐ子さんはご苦労の連続。会場決定の大変な時期も幾多あり、いつも「継続は力なり」が口癖で頑張ってこられました。「いつかは句集を」と希望されていましたね。句歴40年「言葉はやさしく心は深く」と・・・。実現され嬉しい限りです。自宅を句会場に開放したり、訪問すると料理好きでいつも美味しい心のこもった料理でもてなしてくれました。つぐ子さんの人生の句は優しさに溢れ素晴らしいと思います。私のバイブルにもなっています。

 生涯の放課後といふ日向ぼこ 
 ふくいくと鄙の暮しや葱きざむ
 ひとり座す吾に冬日のありがたく


「おいとま支度」とありましたが、まだまだお元気で活躍されることをお祈りいたします。



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